岸田文雄首相は17日の政府の教育未来創造会議で、2033年までの留学生に関する目標を示した。外国人留学生を40万人受け入れ、日本人留学生を50万人送り出すと掲げた。政府が23年4月に策定する新たな留学生計画に盛り込む。
首相は「主要7カ国(G7)メンバーと海外留学をはじめとした国際交流を推進していく」と話した。G7の首脳会議(広島サミット)や教育相会合で話し合う。
外国人留学生を増やすため、日本語教育の充実や外国で早期の学生の募集などに取り組む方向だ。留学期間が終わった後に日本国内で活躍してもらうことも重視し、就職をインターンシップの拡充で後押しするといった案がある。
日本学生支援機構によると19年度に31万人ほどだった外国人留学生は新型コロナウイルス禍で21年度は24万人程度に減った。日本の在学者に占める外国人留学生の割合は5%だ。英国で20%、オーストラリアで30%を超えているのに比べ低い。
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留学生の送り出しを巡っては奨学金を含めた経済支援の充実などが浮上する。国内での英語教育を充実するため、指導力強化を目的にした教員の留学も推し進める。
日本からの留学生は21年度に1万人だった。新型コロナの感染対策の影響もあり、09年度以降で最も多かった18年度の1割ほどにとどまる。日本はコロナ前も中国やインドで増加傾向にあったのと対照的に伸び悩んでいた。
内閣府の調査によると、経済的な理由や語学不足などを理由に「外国留学をしたいと思わない」と答える若者が5割を超える。2割程度の韓国、米国などに比べ高い。
留学生の受け入れの意義は途上国の人材育成への貢献から、日本の少子化の進行に伴う人材確保の側面が強くなってきた。会議に参加する有識者のひとりからは在留資格について外国人留学生の優遇策を求める声も挙がった。
文部科学省は08年に策定した目標で20年に留学生を30万人受け入れると打ち出した。一度水準に達したものの新型コロナ禍の入国制限で再び下回った。これに関し27年に30万人超に回復させる方針を盛り込んだ。
首相はこの政府目標の積み増しを永岡桂子文科相に指示していた。
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別の視点
もしG7首脳会議等で明確な合意が得られ、中国以外の国々からも留学生が大幅に増えるなら、それは素晴らしいことだ。日本の大学の授業料は(特に米国と比較すると)安価で、正規留学のメリットも少なくない。しかし初っ端から日本語だけの授業についていかねばならないとしたら、一歩踏み出すハードルは高いだろう。少なくとも留学当初は英語で受けられる授業の数を充実させておく必要がある。短期留学生なら尚更だろう。魅力ある就職先や日本に住む素晴らしさを示す以前の努力ではないだろうか。